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第3回 海外のトラキチ

更新日:2021年12月20日

副会長 宮崎恒彰


私は、2002年から2008年まで阪神タイガース球団の役員をしておりましたが、その間、2003年(星野監督)と2005年(岡田監督)の2回リーグ優勝するほか、最後の2年間は球団会長(オーナー)をしておりました。

この間、熱烈なタイガースファンから褒められたり罵倒されたり、いろんな事がありましたが、ご支援頂いたたくさんのタイガースファン(以下トラキチと言わせて頂きます)の内、海外のトラキチとの交流についてご披露申し上げます。


まず最初は、アメリカ人の女性ピアニストであるサラ・ビュクナーさんです。彼女は、チャイコフスキー・ピアノコンクールで上位入賞した国際的なピアニストで、モーツアルトの曲を専門とし、海外にも出かけ演奏会や上級ピアニストの指導にもあたっておられます。

私が彼女と知り合ったときは、カナダ・バンクーバーのブリティッシュ・コロンビア大学の音楽学部の先生をしておられました。


ある時自称トラキチの彼女から、日本へ来ているので会いたいとの連絡があったので、甲子園球場前で彼女と会うことにしました。

聞くと、以前彼女は日本人の知人に甲子園へ連れてきてもらい、そのときの1塁側のタイガース応援風景と音にはまってしまったそうで、バンクーバーに帰ってからも、大学の自室の扉に毎日のタイガースの成績を貼り出し、自分の生徒には強制的に「六甲おろし」曲を覚えさせているとか。好きな選手は金本だと言っていました。

そんな彼女ですから、面会した12月中旬は、シーズンオフでさしたるニュースもなく、球場で退屈しているトラ番記者連中を集めて、記事ネタにしてやろうと、急遽記者会見を設定したのであります。

彼女には、予めタイガースのユニフォーム上着と帽子を着せておいて、やおら記者会見場へ登場させました。そこで、私が記者たちに「来年の新しいタイガース外国人選手をご紹介します」とやったものだから、みんな目をぱちくりさせていました。

インタビューでビュクナーさんのトラキチぶりを取材したスポーツ新聞各紙は、デカデカと翌日の朝刊に載せてくれたのは言うまでもありません。彼女もこの新聞を、日本語は読めなくても翌日見たらしく、改めてお礼の連絡がありました。


その後も日本びいきの彼女は、毎年のように日本へ来て、各地で演奏会をするかたわら、球場へも足を運んできましたので、何度か私も一緒に観戦しました。チャンスになると大声で応援し、ラッキー7には率先して風船を上げるなど観戦を楽しんでいました。


ところで、彼女が大阪や京都でコンサートをするときは、私にも呼び出しがかかり鑑賞に行っていましたが、演奏の終わりに私を舞台へ呼び上げ、彼女の「六甲おろし」ピアノ演奏で幕を閉じるというのが定番でした。

なお、コロナ禍のためこの2年間は彼女と会っていませんが、今はアメリカ・フィラデルフィアのテンプル大学音楽学部教授として教鞭をとられています。


次は、ブラジル・サンパウロの猛虎会です。ご承知のとおり、ブラジルをはじめとする南米へは随分と日本人が移民として行かれていますが、とりわけ1962年に「あるぜんちな丸」

で神戸港を出港された人達の結束は固く、現地日本人会の会長さんが兵庫県人会長と言うこともあって、2003年のタイガース18年ぶりの優勝時には、盛大な猛虎会祝賀会が開かれたとか。幹部の方達が帰国の際には、球場へも足を運んでおられます。


さらに、カナダ・トロントの猛虎会についてお話します。この会の幹事長である丸木さんと言う方は、県立西宮高校から大阪府大を出られた後日本で就職されていましたが,一念発起して上記の移民船に乗りブラジルへ渡った後、現在はリタイアしてトロントに居住しておられます。この丸木さんからトロント猛虎会のことをメールで聞いておりましたので、私が偶々仕事でニューヨークへ行った際、帰途にトロントへ立ち寄りました。すると、現地居住の猛虎会のメンバー50人ほど(企業の駐在員、留学生などもおられました)が、現地で成功した日本人の豪邸で私の歓迎会をしてくれたのであります。

すると、この日本人ばかりの集まりの中に一人だけカナダ人がいまして、彼(ジーン・ディノヴィ氏)はジャズピアニストで、昔一世を風靡したポール・アンカのバックバンドでピアノを弾いていたとか。

その彼が、最後にジャズバージョンの「六甲おろし」を弾いてくれたのは、言うまでもありません。


トロント猛虎会のメンバーとは、次回タイガースが優勝したら私を呼んで盛大な祝賀会をやろうという約束になっていますが、2005年から優勝は遠ざかり、その間お互いに歳をとるばかりとなり、そこへコロナ禍が加わって、この約束を果たせるものかどうか危ぶまれる昨今であります。


〔参考リンク〕

○バンクーバー新報

「日本語堪能なピアニスト・UBC准教授 阪神タイガースの名誉ファン サラ・デイヴィス・ビュクナー氏」

○産経新聞2018.06.01

「きょうこそ勝利の六甲おろしを 虎党ピアニスト・サラさんも期待してまっせ~」

(阪神・宮崎恒彰前オーナーと再会)

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